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力も有しないものとする。ただし、受信されたか否かにかかわらず、適用法規によって、メッセージが発信された時に法的効力を与えられる場合は、この限りでない。」と規定している。
また、注釈書は、「(第3.1条の規定により、)当事者は、通信プロセス内のどの段階でメッセージが受信されたとみなすのか、例えば、電子メールボックス、トランザクション・ログまたは指定したコンピュータに受信されたときであるのか、あるいは企業内の特定の特定の個人または管理職により受信されたときであるのかを指定することができる。メッセージが実際にアクセスされたり、検討される必要はない。アクセス可能であればよい。」と説明している。
さらに、技術的附属書チェックリストにおいて、アクセス可能性の方法として、次のものを例示している。
−受信者の代理人として行動するサービス提供者を介しての可能性
−サービス提供者が(例えば、電子メールボックスに)保存するメッセージに受信者によるアクセス可能性
−受信者の組織内コンピュータ・システムを介してのアクセス可能性
3.主要国の現行法規による契約成立の時期
(1)契約の概念
国内取引の場合と同様に、国際取引においても、また物品売買契約に限らず、一般に、「契約(contract)とは二人以上の当事者間(between competent parties)において締結され、法によって強制可能な(enforceable at law)合意(agreement)である」と言うことができる。合意の成立要件は、一方の当事者(申込者)による契約を締結したいという意思表示(申込)と、これに対する相手方当事者(被申込者)による申込を承諾する旨の意思表示の合致である。申込と承諾の要件、合意の有効性、当事者の能力および強制可能性等に関する問題を併せて検討しなければならないが、これらは一応充足されていることを前提として、ここでは、主として、若干の現行法規における基本的な考え方に基づいて、申込と承諾の効力発生の時期について検討する。

 

 

 

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